私のお気に入り


ブックカバーチャレンジの
バトンを頂きながら寝かせたまま。

自粛解除の今になって、
好きなものをつらつらと💕

7冊完走するかは怪しい(笑)


1冊目
「女ひとり 原始部落に入る アフリカ・
   アメリカ体験記」桂ユキ子 著


カバーの絵は、
著者の作品「異邦人」から。

前衛芸術家の桂ゆきさん、
2013年展覧会で知りました。


本書は1960年頃のアフリカ滞在記。

人種にまつわる表現が偏っていて、
いま読むとハラハラ。
でも、情報を得難い時代の貴重な記録。



桂さんはアフリカでフランス人医師を
頼って滞在するのだが、検事・牧師・
医師等のインテリ富裕層は優雅な暮らしぶり
だったらしい。

空輸で生牡蠣や最新ファッションを
取り寄せ、桂さんのパリ滞在時より
パリらしい食事をしたとある。

「日本のアーティストに美しい花鳥風月を
描いて欲しい。歌舞伎は素敵だ。」と、
フランス人の食事会で持て囃される桂さんは、何しにここに来たのか、と不思議な気持ちになる。  

一着だけ持参した着物で装って喜ばれても、
本人は汗だくで、着物なんてクソくらえ、
と内心毒づいているのもおかしい。


アフリカ現地の人はというと、
異邦人である桂さんに
全く興味を示さなかったらしい。

ヨーロッパで旅をしていると、
どこから来たの?
と、みんな興味津々。 

しかしアフリカでは
黄色人種が珍しいという感覚ではなく、
《自分たち》か《それ以外》の判別。


フランス語を話す人々が主にいて、
たまに英語を話すアメリカ人がいて。
桂さんは英語を話すからアメリカ人かな、
くらいの認識。

黒人白人とは違う見た目だ、
という疑問も投げかけられない。


桂さんが依頼されて描く壁画も、
彼らには清潔な壁をわざわざ汚しているようにしか見えなかったようだ。


先入観のない素直な感性が
新鮮に記されていた。


本とは別に、ジャック・シラク元大統領の
言葉がよぎる。

「パリのケ・ブランリ美術館完成の裏側には、西洋文明が辿りついたものこそが、
人類すべてが追随するべき道だという
自惚れと、他の文明文化を過去の遺産と
決めつけてそれを研究材料か、
西洋の芸術家にインスピレーションを
与える“プリミティヴ(原始的)”なものでしかないという、誤った意見を拒絶する意志が
存在します。

これらの偏見は
廃絶されなければなりません。

なぜなら、人間間に序列がないように、
芸術にも序列は存在しないからです。
世界のあらゆる文化には等しく敬意が
払われるべきなのです。

この信念こそが、ケ・ブランリ美術館創設の原動力となりました。」



この美術館で観た
「原初美術(Arts Premiers)」は
圧倒的でした。


同じ時期にオランジュリー美術館では
ダダ・アフリカ展をやっていたなぁ。

はぁぁぁ、旅、したいわぁぁ。
(結局それ)



松永紀見子 SINGER

KIMIKO MATSUNAGA Singer、Songwriter♪ 東京近郊のジャズバー、パーティー・イベントで活動中。色彩豊かな季節の移ろいを謳い、出会いと別れをテーマに曲作りもしている。

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